ローデン基金とは

カルマ・プンツォ博士

ローデン基金は、創設者、カルマ・プンツォ博士(Dr. Karma Phuntsho)によって設立された、ブータンで初めてのNPO活動です。
カルマ先生は、ブータン中部のウラ村で僧侶としての訓練を受けた後、ひとり村を出て各地を歩き、独学で英語を学び、英国に渡り、オックスフォード大学のチベット学で博士号を取得した後、長年ケンブリッジ大学などの研究員として活躍しておりました。数年前に活動の拠点をブータンに戻し、現代ブータンの文化と社会に関する卓抜な考察で知られていましたが、四年前にブータン史に関する大著を刊行し、今日ますますその活躍が注目されている著名な知識人です。代表的な著作として、Karma Phuntsho (2013). The History of Bhutan. Nodia: Random House India. ISBN 9788184003116. また、Karma Phuntsho (2005). Mipham's Dialectics and Debates on Emptiness: To Be, Not to Be or Neither. Routledge Critical Studies in Buddhism. London: RoutledgeCurzon. ISBN 0-415-35252-5. など。
チベット仏教哲学に詳しく、ブータン史に精通し、伝統文化のデジタル保存を手掛ける一級の知識人が、現在のブータン社会に最も必要なプロジェクトとして力を入れている試み。それがこの「ローデン基金」の活動です。

こうした「ローデン基金」の活動を支援するために、「ローデン基金・日本支部」が設立されました。私(西平 直)は、2009年よりブータン調査を開始し、若者たちへのインタビューを継続する中で、ローデン財団の「アントレプレナーシップ」の活動を耳にしました。「アントレプレナー」といっても、ささやかなお店や、地方の特産品の開発。しかもビジネスを通して人を敬い、自然を大切にする試みです。
その後、カルマ先生と親しくなり、その人となりにますます共感し、2017年には日本に招聘して学会で講演をしてもらうなど、研究交流を続けてきましたが、このほどより緊密に活動を支援したいと、「日本支部」を立ち上げることになりました。
「ローデン基金」の活動を多くの方にご理解いただき、日本とブータンの友好関係に何らかお役に立つことができましたら嬉しいです。

京都大学教育学研究科・教授
西平 直

 

ブータンの美しさを壊したくない、穏やかな暮らしを守りたい。
そのために、ブータンの人たちが始めた、次世代支援の試み。
今、私たちが、日本でできること。何をすべきか、すべきでないか。
悩んだ末に、ささやかながら、できそうなこと。